PCR検査のやり方を知りたい!検査に痛みってあるの?詳しく解説

監修医師プロフィール

吉嶺 太輔

鹿児島大学医学部医学科卒
皮膚科や在宅医療のクリニックを経て、現在、医療法人社団青い鳥会で在宅の訪問診療に携わり、自ら皮膚科を開業。
診療に従事していく中で今後のPCR検査の必要性を実感し携わる事に。
また、自分を必要とする患者様のためには休まず働き続ける覚悟の熱い医師です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から1年程が経過しましたが、中々収束の兆しが見えずもどかしい日々が続いていますね。

高齢者向けのワクチン接種も開始され前向きに捉えていきたいところではありますが、国民すべてがワクチン接種を完了する目処は冬頃と予想されており、もう少し辛抱強くウイルスと共存していかなければいけない状況です。

そのような際に重要となってくるのは万が一を見越した事前の情報収集です。

ご自身に感染の疑いがあるという場合には今後の生活、仕事の対応、検査までの手続きなど対応すべきことが次々と迫ってきます。

この記事ではPCR検査を受けるまでの手続き方法、検体採取のための2通りのやり方に関してご説明しています。

これらの知識を事前に蓄えておき、もしもの際にも落ち着いた対応が取れるように準備しておきましょう。

PCR検査を受けるまで

矢印と靴

質問者

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が長期化している分、私自身もPCR検査を受けなければいけない状況が来るのではないかと感じています。

PCR検査を受けるまでの手続きはどのようになっているのですか?

吉嶺先生

PCR検査の手続きにおいては、医師の診断をもって、必要となった際にPCR検査を受けることとなります。

私たちが注意すべきこととしては、どのような症状の際に感染を疑うべきなのか、症状が出た際にどのように対処すれば良いかです。

質問者

風邪の症状であったとしても院内感染などの危険性を考えた行動が求められる、ということですよね?

吉嶺先生

その通りです。

医療機関へ直接受診なさらずに、事前にかかりつけ医やお住まいの地域の保健所などに電話相談をし適切な行動を取るための指示を仰ぐようにしましょう。

質問者

症状が現れた際には受診を検討しなければいけないと思うのですが、どのような場合が該当するのでしょうか?

吉嶺先生

少しでも不安を感じられるようであれば、まず電話相談をしてみてください。

症状が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状に該当するか否かに関して確認をしてもらえますし、ご自身の不安も取り除きやすいと思います。

PCR検査を受けるまでの手続きは難しいものではなく、診断する医師の判断をもって、必要な際にPCR検査が行われます。

そのため、私たち1人1人が注意しなければならないのは、受診するまでの適切な行動が取れるかです。

感染の疑いがある、症状が現れているなど受診を検討する際には、まず電話相談。

また、「他のウイルス症状に酷似しているから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ではない」などの自己判断も感染拡大につながる可能性があります。

慎重な行動を心掛けましょう。

以下は厚生労働省が公表している受診を検討すべき目安となります。

確認しておきましょう。

  • 息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
  • 重症化しやすい方(高齢者の方、糖尿病・心不全・呼吸器疾患などの基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを服用している方)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
  • 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合(症状が4日以上続く場合には対応機関への相談が強く勧められています。)

PCR検査の2通りのやり方(検体採取)

どちらにしたら良いか悩む女性

質問者

PCR検査を受ける際に難しい手続きが必要でないことは分かったのですが、具体的に検査の際にはどのようなことがされるのでしょうか?

吉嶺先生

検査のために患者さんにご協力頂くことは検体採取になります。

検体採取の方法はインフルエンザにかかった場合を想像してもらえると分かりやすいのですが、スワブと言われる細長い綿棒を用いた鼻咽頭からの検体採取が一般的です。

質問者

イメージできました。

あの、痛みのある方法ですよね。

万が一の際には仕方ないのかなとも思いますけど、あまり受けたくはないですね。

吉嶺先生

よくわかります。お子さんなどであれば、なおのこと嫌がるのではないでしょうか?

鼻咽頭からの採取が一般的ではありますが、PCR検査の場合には唾液を用いた採取も用意されています。

こちらの方法であれば痛みもないため検査を受けやすいかと思います。

PCR検査の検体採取の方法にはスワブを用いた鼻咽頭からの採取と、唾液を容器に集めて採取する方法があります。

それぞれの採取方法に関して詳しく見ていきましょう。

鼻咽頭からの採取

鼻咽頭からの採取方法は以下の手順で行います。

  1. 鼻にスワブを挿入する
  2. 上咽頭(鼻の中で最奥部)の数mm手前で挿入を止める
  3. 数秒間スワブを止めたままにし、鼻の奥の粘液をスワブに染み込ませる
  4. その後、鼻粘膜壁を軽くこすり、回転させながらスワブをゆっくりと引き抜く
吉嶺先生

上記の方法によって、のどの粘液を採取しています。

質問者

鼻から挿入しているけれど、のどの粘液を採取しているんですね。

素朴な疑問なのですが、のどの粘液を取るのであれば、口から採取してもいいと思うのですがそれではいけないのでしょうか?

吉嶺先生

鼻から挿入してのどの粘液を採るとこにはきちんとした意味があるんですよ。

この方法では上咽頭の粘液を採取しているのですが、上咽頭から採取した粘液の方が、口から挿入して採取した場合(下咽頭からの採取)よりも採取できるウイルスの量が多くなるんですよ。

質問者

採取できるウイルスの量が多い方がPCR検査の結果がより正確になるということなんですか?

吉嶺先生

その通りです。

採取されたウイルスの量が少ない場合には感染しているにも関わらず陰性という判定がされてしまう可能性が生まれてしまいます。

採取が適切に行われずに陰性の判定がされてしまう場合はもちろん、感染して間もない状態である場合にもウイルスが体内で十分に増加していないために陰性の判定に至る場合があります。

検査に十分なウイルス量を採取することは非常に重要なことなんです。

質問者

ちゃんとした方法で検体を採取する必要性が十分に理解できました。

検体採取の際に痛みがあるのは仕方ないことなんですね。

吉嶺先生

痛みの程度にも依りますが、痛みが生じてしまうような場合には採取の方法に問題があるという意見もあります。

違和感やほんの少しの痛みが生じるにしても、激痛を感じてしまうということは一般的にあり得ないことです。

唾液からの採取

唾液からの採取方法は以下の手順で行います。

  1. 検査を行う30分前から歯磨き、飲み物の摂取、たばこ、タブレット・ガム・飴類の摂取を控えておく
  2. 予め1~2分程度、口を閉じてうつむき、自然と出てくる唾液を口の中に貯める
  3. 唾液を集める容器の中に口の中に溜まった唾液を吐き出す
  4. 口の中に貯める、唾液を容器に集める作業を繰り返して、2ml程度唾液を貯める
  5. 必要量が貯まったら容器のふたを閉める
  6. 容器をアルコール綿で拭いた後、提出する
吉嶺先生

このような方法で唾液からの採取が行われます。

鼻咽頭から採取する場合には患者さんがくしゃみをする可能性もあり、これが医療従事者への感染リスクとして懸念されていました。

採取できるウイルス量では鼻咽頭採取に分がある一方で、唾液からの採取であれば、医療従事者への感染リスクを回避することができるため、こちらの採取方法にも大きなメリットがあると言えます。

質問者

医療従事者への感染リスクを考えることは中々なかったのですが、お話を聞いて実感しました。

患者側の立場としては鼻咽頭からの採取と比べると痛みが生じることがないのは嬉しいですね。

もし、2mlを採取するのが自然な唾液では難しい場合にはどうすればいいでしょうか?

吉嶺先生

時間を掛ければ自然な唾液でも集められるかと思いますが、どうしても唾液が出ない場合には、耳の下やあごの下、もしくは舌の付け根あたりをマッサージすることで唾液の分泌が促されます。

ぜひ試されてみて下さい。

まとめ

OKサインをする女性

ここまでPCR検査を受ける際の注意点、検査のための検体の採取方法に関してご紹介してきましたがご理解頂けたでしょうか?

検体を採取する方法には鼻咽頭だけでなく唾液による方法もあります。

痛みがあるのではと気になっていた方も多いかと思いますが、痛みを伴わない方法として唾液による検体の採取方法もあります。

万が一の際にも落ち着いた対応を取れるように、この記事だけでなく、積極的にPCR検査に関する知識を蓄えていってもらえれば幸いです。