これまでのSARSやMERSもコロナウイルスの一種なんですね。
これらのウイルスも感染拡大をもたらしたと思うのですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がSARSやMERSのとき以上に感染が広がっているのはどうしてなのですか?
一般的なウイルス感染の場合、ウイルスが他者へと感染する可能性が最も高いのは症状が強く現れる時期です。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の場合には強い症状が現れていない場合であっても感染する可能性があり、発症の2日前から発症後7~10日の間は他者へと感染させてしまう恐れがあるとされています。
このように、感染力が強いことから例え無症状であったとしても、マスク着用の徹底が勧められているのです。
ありがとうございます。
改めてマスク着用や手洗い・うがいを始めとした予防習慣を身に付ける必要性を感じました。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による症状に関してもおさらいしておきましょう。
流行当初には味覚障害や嗅覚障害が起きるということもニュースで取り上げられていましたよね。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に顕著に現れた特徴のひとつと言えますね。
決してそれらだけが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染による初期症状ではありませんので確認していきましょう。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染すると平均して5~6日、最長では2週間ほどの潜伏期間を経て症状が見られるようになります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初期症状は風邪の初期症状に類似したものもありますが以下のように挙げられています。
初期症状が見られ、感染の疑いがある場合には、院内感染の防止のために、かかりつけ医がいる医療機関、お住いの地域の保健所などにまず電話相談をするように厚生労働省が公表しています。
逼迫した状況にいると思いますが、事前の連絡なく直接受診するのは控えましょう。
また、自宅療養の場合には初期症状が現れた後に重症化してしまう可能性も考えられます。
厚生労働省より重症化の前兆となる緊急性の高い症状のチェックリストが公表されており、それらは以下の通りです。
上記の項目を患者さん自身、ご家族が原則1日2回確認し、該当する項目が1つでもある場合には医療機関への連絡をするように呼びかけられています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染に対する体制は整えられつつあると感じるのですが、ニュースでは「変異株」の言葉をよく聞くようになりました。
これらは当初のコロナウイルスとはどのような違いがあるのでしょうか?
変異株では〇〇型と国名を使って報道されていると思いますが、従来株よりも危険度が高い可能性がある、ということが大きな特徴です。
それぞれの変異株に関して見ていきましょう。
現在までに変異株として確認されているものは以下の通りです。
イギリスを起点として変異が生じていることが確認されました。
2020年12月に確認され、2021年5月の時点において既に100か国以上で変異株の確認報告がされています。
イギリス型変異株が持つ顕著な特徴は「N501Y変異」と言われる、感染力の増大にあります。
従来型と比較すると、感染性が25~40%増加しているという報告がされています。
加えて、重症化リスクも従来株と比べて増大しており、死亡率で見た場合には約60%の増大が報告されています。
南アフリカを起点として変異が生じていることが確認されました。
南アフリカ型変異株はワクチン効果を低下させる可能性が懸念されており、これを大きな特徴として危険性に対する注目が集まっています。
この顕著な特徴は「E484K変異」と呼ばれる、これまでにヒトが獲得した免疫が十分に効かなくなる変異に由来するものであり、これに併せてN501Y変異(感染力増大)も確認されています。
従来株と比較すると感染性が50%増大しているという報告も確認されています。
ブラジルを起点として変異が生じていることが確認されました。
従来株と比較すると約50%ほど再感染のリスクが高い可能性があり、政府や医療機関などがブラジル型変異株を危惧しています。
この特徴はE484K変異(免疫逃避)に由来するものであり、これに加えてN501Y変異(感染性増大)も確認されています。
N501Y変異による変異は従来株の2倍近くの感染性をもたらしているという報告も上がっています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がどのようなものであるのか、変異株の特徴に関して理解できたのですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に変異が生じているか否かを明らかとする検査体制はどのようになっているのでしょうか?
変異が生じているか否かを把握するための検査体制には厚生労働省からさまざまな方法が築かれているため確認していきましょう。
厚生労働省は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の変異株の全体としての監視体制に関して公表しており、その主旨は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がどのように変異を起こしているのか状況を把握するために、国内の陽性検体に対してゲノム解析を実施し、変異株のリスク評価・分析を実施することにあります。
変異株のリスク評価・分析結果に応じた取り組みは以下の通りです。
感染性が従来のものより強いコロナウイルスに対しては迅速な対応が必要となります。
迅速な対応としての取り組みは以下の通りです。
免疫・ワクチン効果を低下させる力が従来より強い変異株や、その他の変異株など発生状況を適切に把握する必要性が求められます。
そのための取り組みは以下のように公表されています。
変異株に対する検査体制が少しずつ分かってきたのですが、PCR検査をしただけでは従来株であるか変異株であるかは分からないのでしょうか?
そうですね、分からないという言い方ですと語弊があります。
PCR検査では検査のために検出したいDNA配列(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対してはRNA)を増幅させる作業をし、検査に用いています。
しかしながら、これまで行われてきたPCR検査では変異株に対応した検査とはなっていないんです。
変異株であるか否かというのは”スクリーニング”という工程を通じて明らかにしています。
このスクリーニングについて見ていきましょう。
変異株の特定はスクリーニングという作業工程を通じて行われています。
方法は以下の順序でスクリーニング体制として整備されています。
上記の手続きにより変異株に感染しているか否かの検査が行われています。
変異株PCR検査は地方衛生検査所にて実施されています。
変異株PCR検査を通じて変異株「確定」患者であることが明らかになった場合には国立感染症研究所にて更にゲノム解析が行われるという体制が築かれています。
これまで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、変異株、感染に対する検査体制に関してご説明してきましたがご理解頂けたでしょうか?
流行の長期化に伴い、従来株から変異株へと脅威が移り変わっています。
従来株であっても変異株であっても、手洗い・うがい・マスク着用といったこれまでの予防習慣は感染に対して十分に効果的であるため、これからも予防活動を続けていきましょう。
この記事をきっかけに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する知識を積極的に蓄えていってもらえると幸いです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して注目が集まるようになって1年が経ちましたが、ここでは改めて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がどのようなウイルスであるのかをおさらいしていきましょう。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という言葉を今回の流行を機に知ったという方も多いかと思いますが、ヒトに感染する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)には、一般的な風邪症状を引き起こすヒトコロナウイルス229E、OC43、NL63、HKU-1の4種、中国・広東省を起点として2002年に感染が拡大したSARSコロナウイルス、サウジアラビアを起点として2012年に感染拡大したMERSコロナウイルスの2種、計6種類が確認されていました。
今回見つかった新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、SARSコロナウイルスと類似した構造をしており、SARSコロナウイルスと同じ受容体を利用してヒトの細胞に侵入することが報告されています。